個人事業主としてスタートして、ある程度収益が得られるようになると「法人化した方がいいのかな?」と考える人も多いと思います。
しかし、
- どの法人を選べばいいか分からない
- 手続きが難しそうで怖い
- 費用が大きくかかりそうで踏み込めない
このように考えて、一歩踏み出すことができない人も少なくありません。
そこで、この記事では法人化するにあたって具体的にどのように考えて選択していけばいいかについてお伝えします。
ぜひ参考にしてみてくださいね!
そもそも法人格にはどのようなものがある?
一口に法人格といっても、私法人・公法人を含めて実はさまざまな種類があります。
そのなかで、あなたの事業に適したものはどんなものなのか知るために、その種類について解説します。
株式会社
個人が法人成りできる私法人のなかでも、営利法人に属するものの代表格がこの「株式会社」。
個人事業から法人化する場合、一般的には株式会社を選択するパターンがほとんどです。弊社のクライアント様も、法人化する際、8割程度の方が株式会社を選択されています。
株式会社には融資を受ける際や取り引きにおいて信用を得やすくなったり、株式を発行して出資を募れば資金調達も可能になるというメリットがあります。
設立自体は資本金1円から可能で、代表取締役1名いれば立ち上げられます。
手続きに20万円程度の費用が必要になるのに加え、決算公告を行う義務が生じます。
合同会社
合同会社は、2006年5月の会社法改正で加えられた会社で、株式会社に次いで選ばれる法人としても知られています。
営利法人のなかでも「持分会社(もちぶんかいしゃ)」に分類される法人で、出資者と経営者がイコールになるのが特徴です。
全ての出資者が社員として、事業の決定権を得られます。
そのなかでも代表権を与えられる社員のことを代表社員と呼びます。
こちらも資本金1円から設立できますが、手続き費用には6~10万円程度かかります。
一般社団法人
私法人のなかでも非営利法人に分類されるのが、この「一般社団法人」です。
非営利法人といっても利益は得られますが、株式会社や合同会社のように出資者や社員への余剰利益の分配は認められていません。
同じ非営利法人で活動範囲が決められているNPO法人と異なり、事業内容は制限されていないのが特徴として挙げられます。
協会ビジネスを主事業として行っている人が一般社団法人を選ぶ傾向にあります。
設立には2人以上のメンバーが必要で、自分である程度手続きする場合は10万円程度かかります。
その他
上記で挙げた法人のほか、合資会社や合名会社、一般財団法人、医療法人など、私法人だけでもさまざまな種類があります。
公法人は、国家目的のために活動する法人のことを言い、主に行政関連で設立される法人のため、私法人のように個人が取得はできません。
財務面で得するかどうかの見極めは?
個人事業主から法人化すると、財務面ではどのような違いがあるのでしょうか。
多くの人が、法人化すれば節税に繋がるといわれているものの、タイミングやメリットが分からず二の足を踏んでいます。
そこで、法人になるにあたっての、財務面での違いを3つ紹介します。
年間の利益500〜800万円程度が法人化のタイミング
利益については各事業の経費によっても異なるため一概には言えませんが、一般的には年間の利益が500~800万円に達した場合が法人化のタイミングだと言われています。
個人事業主は利益額が増えるにつれて税率も上がるのに対し、法人は年800万円の利益に対し税率が一定に保たれます。
経費計上できる費用の幅が広いのも法人のメリットで、実質負担される税を指す実効税率によっても節税効果が見込めます。
社保に加入できて将来受け取れる年金額が変わる
法人化をする場合のメリットとして挙げられるのが「社会保険に加入できる」という点です。
社保には医療保険や年金保険、介護保険のほか、雇用保険に労災保険も含まれます。
年金も厚生年金がかけられるため、将来的に受け取れる年金額が増えやすいのも嬉しいポイントです。
個人事業主で利益が増えると、国民健康保険の金額はかなり負担になります。それであれば、法人化して社保に加入した方がよい、と考える方も多いです。
信用度がアップし法人取引が増え売上増に繋がりやすい
個人事業から法人に変更して変わることの一つとして、信用度のアップも重要なポイントと言えます。
社会的な認知度が高く、個人事業主よりも法人からの取り引きをしやすくなりますし、融資を受けやすくなるというメリットもあります。
そのため、現状利益額で得でなくても、法人の取引を増やしていくために法人化を踏み切る方も多いです。
運営の手間やかかる経費の違い(法人にすると必要になる手続きなど)
年収が増えて法人化を視野に入れた方がいいのは分かったけれど「でも、手続きが難しそう」「なにからすればいいの?」と、法人設立するためにすればいいことが分からず悩んでいる人も多いものです。
ここでは、法人設立時に必要な手続きや経費について解説します。
法人設立の手続き
法人設立には以下の手続き手順が必要です。
- 定款作成
- 定款認証
- 資本金振込
- 登記申請
- 税務署、都税事務所、年金事務所、銀行など各種手続き
定款(ていかん)とは、会社のルールブックのようなものです。こちらができたら公証役場で認証して貰います。ここまでで、資本金額によっても違いますが、およそ3~5万円程度の費用がかかります。
次に資本金を振り込みます。口座は今ある口座でも新しい口座でも構いません。
資本金を振りこんだら登記書類を作成して申請します。定款を作ってあるので、書類自体はそれほど手間なくできます。
それらが終わったら、税務署や年金事務所などの法人化に関わる必要手続きを行います。
運営開始してから、個人と違い増える手続き
法人化すると、以下の手続きが増えます。
- 源泉所得税の支払い
- 年末調整
- 法定調書
源泉所得税は、個人に対してかかる税金で、起業や事業主が従業員分の給料から天引きして納付する必要があります。
また、個人の所得税を社員に変わって納付している企業は、正しい税額を決めるために年末調整を行います。
そのほか、税務署への提出が義務付けられている、法定調書と呼ばれるさまざまな書類を提出しなければなりません。
役員報酬を変えられるのは年に1回
役員報酬は年に一度のみ変えられます。
決算後に行われる株主総会にて決定し、社保の金額変更届けを行います。
社保の金額の変更届け(月額変更届)は、変更した新しい額での役員報酬の支払いをはじめてから3ヶ月経たないと提出することができません。
資金繰りの関係で役員報酬を減らした場合も、社保の金額が変わるまで3〜4ヶ月必要となるので注意しましょう。
経費の違い
法人化した場合、必ずしも税理士への依頼は必要ではありませんが、手続きが難しく税務にかなりの労力がかかってしまいます。
また、経理を雇っていると継続してコストがかかるので、できれば税理士と契約したほうがいいでしょう。
そのほか、個人に比べて、法人口座は振込手数料や利用料が高く設定されている場合があります。
ネットバンクならそれほど負担にならないので、上手に活用しましょう。
最終的に大事なのは、ビジョン!
法人化にあたって最終的な判断基準は「会社のビジョンが何か?」です。
事業をさらに大きくしたいのなら、法人化するのがおすすめです。
もし、節税のために法人化したいのなら、合同会社も選択肢としてありでしょう。
個人事業から卒業したいのなら、自分のビジョンに合った法人を選びましょうね!
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