株式会社Updraft 香りプロデュース 調香担当の津田 麻奈美です。
近年、企業ブランディングの1つとして「香り」ご活用のご相談が増えております。
こちらの記事では、香りの効果やプロデュースの際の考え方をご紹介いたします。
香りの力とその基本概念
企業ブランディングにおいて、香りによるブランディングは、嗅覚を通じて感情や記憶にアプローチし、顧客との深いつながりを強化する新しいマーケティング手法として注目されています。
香りは嗅覚を通じて直接的に消費者の感情や記憶に影響を与える特徴があり、ブランドの印象を深く刻み込むことができます。このような香りを用いたブランディング手法は他社との差別化を図る有効な手段です。
嗅覚の影響
嗅覚は五感の中でも特に感情に密接に関連していると言われています。嗅覚による刺激は、感情や本能を司る大脳辺縁系に直接影響を与えます。そのため、目的や場面に応じた香りを用いることで、顧客の気持ちに働きかけ、ブランドに対する好印象をより強く持たせることが可能です。例えばエントランスやホールに、くつろぎを感じさせリラックス効果のあるアロマを漂わせることで落ち着いた空間をつくりだし、滞在時間を伸ばすことでサービスの付加価値を高めたり、購入率を向上させることが期待できます。
感情と記憶へのアプローチ
嗅覚はプルースト効果と呼ばれる現象により、特定の香りに結びつく記憶や感情が蘇ることがあります。
認知症の方に過去の想い出と結びついた香りを嗅がせると、それまでは思い出せなかった出来事がよみがえってきたという事例も報告されています。このように、プルースト効果を活用すれば、企業ブランド専用の香りを用いることで顧客に長期的な印象を残すことができるでしょう。
一例として、日本航空(JAL)が自社のラウンジで使用しているオリジナルアロマ「JALの香り」は、旅行の心地よい体験を思い起こさせ、顧客との結びつきを強化している側面もあります。
参照
https://www.promotool.jp/wp-content/uploads/231124.pdf
香りの効果
滞在時間と購入率の向上
香りの利用は、企業ブランディングにおいて顧客の滞在時間や購入率を向上させることが期待できます。心地よい香りは消費者にリラックス感や安心感を与え、その場に長く留まることを促進します。その結果、購買意欲が高まり、購入率が上がる事例が多々報告されています。オリジナルの香りを導入することで、他社との差別化を図れるだけでなく、顧客が再訪する率も増えるでしょう。
独自性の強化とサービスの付加価値の向上
香りを用いたブランディングは、企業の独自性を強化する非常に効果的な手法です。特定の香りを持つことで、その香りがブランドの象徴として記憶されるため「この香りを嗅ぐとあの会社を思い出す」というように、消費者は香りを感じた際に直接その企業やサービスを思い浮かべやすくなります。これにより顧客との感情的な結びつきが生まれるので、ブランドイメージの向上にも繋がります。さらに、他社と異なる独自の香りを持つことで、競合との差別化も可能となるでしょう。
さらにビジネスとしては、香りを用いることでサービスの付加価値をあげることも可能です。ホテルやショールーム、移動空間などにオリジナルの香りを付加することにより、くつろぎやリラックス感、非日常感などの演出をすることで「そこに行かなければこの体験はできない」という上質な付加価値を与えることができます。
このように香りを用いる事は、消費者の感性に直接訴えるブランディングが可能となります。
オリジナルの香りの作り方のポイント
企業の世界観を明確にする
企業ブランディングにおいて、オリジナルの香りを活用するためには、まず企業の世界観を明確にしなければなりません。企業の理念やビジョン、提供するサービスや商品の特性を踏まえ、それらを反映した香りを作り出すことが重要です。
トップノート・ミドルノート・ベースノートをデザインする
香りのデザインにおいて、トップノート・ミドルノート・ベーストノートのバランスを取ることが重要です。トップノートは最初に感じる香りで、ブランドの第一印象を表現します。その後ミドルノートが広がり、企業の世界観や商品の特徴を反映した香りが漂います。そして最後にベースノート・・・香りの土台と呼べるものが、最後の表情を表現していきます。
企業ブランディングの香りの例として株式会社Updraftの香りを挙げます。こちらの会社の雰囲気は明るい元気な女性が輝いている印象を受けているので、トップには明るさをもたらす柑橘系の香りを中心としました。そしてミドルですが、やはり女性らしい華やかさを表現したかったので、ジャスミンなどお花系の香りをブレンド。そして最後にベースには、この企業スタッフは皆、優しく思いやりのある人が集まっている印象が強いので、甘く穏やかな、そしてそっと宥めてくれるようなサンダルウッドなどの甘みのある優しい香りを選びました。
続いてもう1つ、空間で用いることを目的とした香りについて、めぐりアロマブランドのMonday9:00を例にご紹介します。こちらはこれから仕事をはじめるタイミングで利用する目的で作成した香りです。それなので、まずはシャキッと目を覚まさせるような香り・・・ミントや柑橘系といった爽やかな香りをトップとしました。ただ、最初から最後まで爽やかな香りだけでは単調で面白みがありません。そこでミドルとしてハーブ系の精油を数種類ブレンドすることで、香りの表情に深みをもたせました。そして最後となるベースノート。仕事のための香りではありますが、長時間ずっと集中し続けることは難しいこと。途中で休憩を挟むことも大切です。そこで最後には落ち着きをもたらせてくれるようなサンダルウッドなどをブレンドすることで、全体として集中→だんだん落ち着きリラックスさせてくれるような香りとして全体をまとめました。
以上述べた2例は制作目的こそ異なりますが、どちらもトップからベースまでをそれぞれの目的を考慮しながらバランスよく組み立てたことで、時間の経過とともに香りの表情が変わっていく1つの作品として作り上げたものになります。
このように1つ1つのノートを揃えながらも、全体のバランスをうまく整えること。これが独自性を表現したり、顧客に好まれやすい香りを制作するポイントと言えるでしょう。
最後に
企業ブランディングに「香り」を活用することは、企業の独自性を高めるだけでなく、顧客との繋がりを深化させたり、サービスに付加価値を与えたりなど、様々なメリットをもたらし、ブランド価値を飛躍的に向上させます。香りの活用についてのご相談は、弊社の調香師がサポートさせていただきます。お気軽にご相談ください。
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